【古文の世界の恋愛】※2023/7/3更新
国語で学ぶ古文には、恋愛の話が多くあります。代表的なもので言えば、「源氏物語」などがあげられるでしょう。今回は、昔の人たちの恋愛について解説します。
昔の人たちの価値観を知るだけで、古文の問題が理解しやすくなるので、ぜひ参考にしてくださいね。
まず、平安時代の女性たちはなかなか顔を見せることはありませんでした。年頃になると、父親や兄弟にも顔を見せないようになり、基本的には御簾越しに会話をします。外出するときも輿(こし)で移動します。
そんな女性たちと、男性はどのように知り合うのでしょうか?ここで大切なのは家柄とウワサでした。あそこの屋敷には美人な娘がいるという情報や才色兼備の女性がいるという情報をもとに男性たちは女性のことを知るのです。
そうして、女性の情報を手に入れた男性たちは気に入った女性に手紙を送ります。手紙には決まって和歌が添えられていました。姫たちは、その和歌で男性を選ぶのです。そのため、和歌の内容ももちろん重要ですが、それ以外にも文字の綺麗さや書かれている和紙の上質さも重要でした。
姫たちは、気に入った男性に和歌で返事を書きます。返事を書くようになっても、姫たちは容易に心を許しませんでした。気のないふりをしたり、返事を遅らせたりして男性の心も確かめるようなことをしました。
そのようなやりとりを経て、ついに結婚するのです。
男性が姫の元を訪れて、初めて一夜を共にするのです。朝になると男性は自分の家へ帰ります。この時点ではまだ結婚は成立していません。三日連続で通って初めて結婚が成立するのです。
三日間通って、どちらからも不満が出なければ三日目に披露宴が開かれ、正式に結婚となります。
当時は、一夫多妻制が採用されており、結婚しても正妻でなければ一緒に住むことも許されなかったため正妻とそれ以外の妻たちで争いが起こることもしばしばありました。
では、平安時代の恋愛において実際にどのような和歌が読まれたのでしょうか?
今回は、源氏物語から一つ紹介します。
面影は 身をも離れず 山桜
心の限り とめて来しかど
夜の間の風も、うしろめたくなむ
これは、主人公である光源氏が後に光源氏の妻として不動の地位を確立する紫の上と出会った時の和歌です。
「山桜のようなあなたの美しい面影が私の身から離れません。私の心の全てを置いて留めてきたのですが、夜風にて花が散るのではと心配になります。」
と言う意味です。
そして、この「花が散る」というのは、山桜に見立てた紫の上が、他の誰かに引き取られるということを指しています。この和歌から、光源氏は紫の上に対する強い愛情が伝わってきます。
当時の男性たちはこのような和歌を通して姫たちにアプローチしていたのです。
いかがでしたか?
古文の世界の恋愛の文化を知ることで問題が理解しやすくなる部分もあるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。